女子バレー日本代表が、アジアの頂点とロサンゼルスオリンピックへの切符にまた一歩近づきました。
2026女子アジア選手権の準々決勝で、日本はチャイニーズタイペイ(台湾)に3-0(25-14、25-21、25-13)で勝利。準決勝進出を決めました。
主役となったのは、両チーム最多の19得点を挙げた和田由紀子です。アタックは25本中17得点、ミス0。決定率68.0%という圧倒的な数字を残しました。
石川真佑も14得点を記録し、攻守で本来の感覚を取り戻しつつあります。チームではブロック11得点を奪い、ミドルも積極的に活用。さらに、鴫原ひなた、山口真季、秋本美空、北窓絢音ら途中出場組が、それぞれの強みをコートに加えました。
一方、第2セットでは5点差をつけられ、トスとアタッカーのタイミングが明確に合わない場面も複数ありました。
スコアだけを見ればストレート勝利。しかし、その中身は「危なげない完勝」だけでは表せません。課題を残しながらも、主力と交代選手の力を組み合わせ、試合の中で修正して勝ち切った一戦でした。
日本が3-0で準決勝進出
日本は第1セットを25-14で先取しました。
和田の攻撃を軸に主導権を握り、ブロックでも台湾の攻撃を封じます。サイドだけに頼らず、島村春世らミドルを使いながら相手ブロックを分散させたことも、日本が優位に試合を進められた理由でした。
しかし、第2セットは台湾の攻撃と日本のミスが重なり、最大5点差のビハインドを背負います。トスがアタッカーに合わず、十分な助走や打点を確保できない場面もありました。
それでも、日本はブロックとサーブをきっかけに流れを引き戻します。終盤で逆転し、25-21。内容が安定しないセットを落とさず取り切ったことには、チームの修正力が表れていました。
第3セットは再び日本のペースです。和田と石川が得点を重ね、島村のクイック、山口のブロックも機能。終盤には鴫原、秋本、北窓らがコートに立ち、秋本のブロック、北窓のアタックなどで点差を広げました。
最後は北窓がクロスを決め、25-13。日本がストレートで準決勝への切符をつかみました。

和田由紀子、19得点・決定率68%の圧巻パフォーマンス
この試合で最も際立っていたのが和田です。
| 項目 | 記録 |
|---|---|
| 総得点 | 19 |
| アタック得点 | 17 |
| アタック打数 | 25 |
| アタックミス | 0 |
| アタック決定率 | 68.0% |
| サービスエース | 2 |
25本打って17得点。それだけでなく、アタックミスは一度もありませんでした。
高い打点から力で押し切るだけではなく、クロス、ストレート、ブロックアウトを使い分け、相手の守備位置を見た軟打も得点につなげました。崩れた状況でも簡単に失点せず、攻撃の精度を維持しています。
日本が相手のミスを待つのではなく、自ら点を奪い続けられた最大の要因でした。

石川真佑が攻守で示した復調
石川はアタック9得点、ブロック3得点、サービスエース2本の計14得点を記録しました。
アタックは20本中9得点で決定率45.0%。和田ほど突出した効率ではありませんが、試合序盤からクロスやストレートを決め、得点感覚が戻ってきたことを感じさせました。
今回の石川を評価するうえで、攻撃以上に見逃せないのが守備とブロックです。
レセプションは17本を受け、成功10本、エラー0。公式スタッツの効果率は58.82%でした。ブロック3得点も山口に次ぐチーム2位です。
攻撃だけに負担が偏らず、サーブ、ブロック、レセプションを含めてチームを支えた14得点。現時点で「完全復活」と断定する必要はありませんが、準決勝以降に向けて明るい材料です。

11ブロックとミドル多用に見えた“試す余裕”
チームスタッツでは、日本がアタック53-34、ブロック11-1、サーブ4-0と台湾を上回りました。
| 得点項目 | 日本 | 台湾 |
| アタック | 53 | 34 |
| ブロック | 11 | 1 |
| サーブ | 4 | 0 |
| 相手ミス | 7 | 13 |
注目すべきは、日本が台湾のミスから得た得点が7点にとどまったことです。アタック、ブロック、サーブによる自力得点では68-35。相手の失点を待つのではなく、日本がプレーで点を奪った試合でした。
ミドル3選手は合計25本のアタックを打ち、14得点。チームのアタック総打数98本のうち約25.5%を担いました。
島村は14本中9得点で決定率64.3%。山田二千華も2本すべてを得点にしています。山口はアタックで苦しんだものの、ブロックでチーム最多の4得点を奪いました。
サイドの決定力だけで押し切るのではなく、クイックやブロードを使って攻撃の幅を広げる。ネット際では複数の選手がブロックポイントを挙げる。準々決勝を勝ち抜きながら、準決勝以降に向けた選択肢も試していたように映ります。

鴫原、山口、秋本、北窓――交代で強くなる日本
今大会の日本には、先発メンバーを下げても単純に戦力が落ちるのではなく、交代によって別の機能を加えられる強さがあります。
鴫原は公式スタッツ上の得点こそありませんが、台湾戦でも安定したレセプションと好ディグを披露しました。第3セットにはAパスから島村のクイックにつなげた場面もあり、ラリー中には崩れかけたボールを何度もつないでいます。
山口はブロック4得点。ネット際の高さと読みを加えられるカードとして、結果を残しました。
秋本はベトナム戦で初先発からチーム最多16得点を挙げ、台湾戦でも途中出場からブロックポイントを記録。北窓は台湾戦でアタック6本中4得点、決定率66.7%を残し、最後の1点も任されました。
これは単なる主力の休養ではありません。
- 鴫原でレセプションとディグを安定させる
- 山口でブロックの圧力を高める
- 秋本と北窓で攻撃力を加える
- セッターやリベロも交代し、異なる組み合わせを実戦で試す
アクバシュ監督は、選手を代えることでコート上の機能を変えています。控え選手を「主力に何かあったときの代役」にせず、それぞれの武器を試合の流れに組み込んでいることは、今大会の大きな特徴です。




完成度と選択肢。その両方を準決勝で示せるか
もちろん、多彩な起用がすべて完成しているわけではありません。
台湾戦では、第2セットに5点差をつけられました。トスとアタッカーのタイミングが合わず、ボールがそのまま相手コートへ返ったり、十分な体勢で打てなかったりする場面もありました。日本のミスによって台湾に与えた得点は13点。台湾が日本に与えた7点を上回っています。
メンバーや組み合わせを変えながら戦えば、連係の精度に課題が出る可能性はあります。ただし、個々のコンビミスが選手交代によって起きたと断定することはできません。
重要なのは、乱れた第2セットを修正して25-21で取り切り、第3セットを25-13で終えたことです。
和田が19得点で攻撃を牽引し、石川が攻守で復調を示す。島村と山口が中央で存在感を発揮し、途中出場の鴫原、秋本、北窓もそれぞれの役割を果たす。
主力が試合をつくり、交代選手が新たな強みを加えて完成させる――。
ストレート勝利以上に価値があったのは、日本が「誰を出しても同じバレー」を目指すのではなく、「誰を出すかによって複数の勝ち方を選べるチーム」へ変わりつつあることです。
準決勝では、その選択肢をより高い連係精度で得点につなげられるか。アジア王座、そしてLA28への挑戦は続きます。


