和田由紀子19得点、佐藤淑乃18得点|韓国戦3−0で見えた女子バレー日本代表の攻撃力と課題

女子バレー日本代表は、2026女子アジア選手権の予選ラウンド第2戦で韓国と対戦し、3−0で勝利しました。

セットスコアは33−31、25−19、25−20。

第1セットは何度もセットポイントを迎える長い競り合いとなりましたが、最後は途中出場の鴫原ひなたが決めて33−31。第2セットでは北窓絢音のサーブから連続ブレイクを奪うなど、リリーフ陣も試合の流れを動かしました。

チーム最多は和田由紀子の19得点。佐藤淑乃が18得点、島村春世が10得点で続いています。

日本はアタック得点で61−43と韓国を大きく上回った一方、サーブ得点は2−3。試合後には、サーブの強度、コンビの精度、試合の入り方など、ストレート勝利だけでは見えない課題も挙げられました。

主力選手の得点力だけでなく、競った局面で機能した交代起用にも注目しながら、Volleyball World公式スタッツと試合中の実況メモから韓国戦を振り返ります。

日本が韓国に3−0勝利――33−31を決めた途中出場の鴫原

第1セットから、試合は香港戦とは異なる展開になりました。

韓国は速いテンポの攻撃と粘り強いディフェンスで日本に対抗。日本も和田由紀子、佐藤淑乃、石川真佑らの攻撃で得点を重ねましたが、サーブから相手を十分に崩し切れず、サイドアウトを取り合う時間が続きます。

セット終盤は両チームが何度もセットポイントを迎える長いデュースになりました。

日本も決め切れない場面が続きましたが、韓国にセットを渡さず、最後は途中出場の鴫原ひなたがストレートにスパイクを決め、33−31で第1セットを先取しました。

鴫原は、この試合でアタック2得点を記録しています。

得点数だけなら大きな数字ではありません。しかし、そのうちの1点が長いデュースを終わらせるセットポイントだったことには、数字以上の意味があります。

点差が開いた状況で経験を積むための交代ではなく、どちらに転ぶか分からない局面でコートに入り、実際に最後の1点を決めた。韓国戦における鴫原の起用は、香港戦とは異なる難しさを伴うものでした。

第2セットでは北窓絢音のサービスターンから、日本が流れを引き寄せます。

日本が16−14とリードしていた場面で北窓がリリーフサーバーとして入ると、韓国のレセプションを乱し、佐藤のスパイクなどでブレイクを重ねました。

北窓のサーブから日本は5連続ブレイク。25−19でセットを連取します。

第3セットも韓国の粘りに苦しみながら、和田、佐藤、島村を中心にリード。終盤には再び途中出場選手を起用し、25−20で取り切りました。

セット日本韓国
第1セット3331
第2セット2519
第3セット2520
セット数30

3−0という最終結果だけでなく、競った場面で交代選手が流れを変え、セットの決着にも関わったことが韓国戦の収穫です。


得点差の正体はアタック61−43

チームスタッツを見ると、日本が韓国に勝った最大の要因が明確に表れています。

得点内訳日本韓国得点差
アタック6143+18
ブロック75+2
サーブ23−1
相手ミス1319−6
合計8370+13

日本はアタック得点で61−43。ここで18点の差をつけました。

一方、ブロック、サーブ、相手ミスを合計すると、日本の22得点に対して韓国は27得点。アタック以外の3項目では、日本が5点下回っています。

つまり、3−0という結果を「すべての要素で韓国を圧倒した」と評価するのは正確ではありません。

日本はサーブ得点で2−3と韓国を下回り、相手ミスによる得点も日本の13点に対して韓国は19点。アタック以外では、韓国の方が多く得点しています。

それでも日本が試合全体で13点差をつけられたのは、アタックによる18点差が、他項目のマイナスを補ったからです。

日本は130本のアタックから61得点を挙げ、単純なアタック決定率は約46.9%。韓国のディフェンスに一度拾われても、ラリーの中で攻撃機会を作り直し、最後に得点へ変える力で相手を上回りました。

香港戦でも、勝敗を分けた最大の要因はアタックでした。

相手の守備やブロックの水準が上がった韓国戦でも、攻撃によって明確な差をつけられたことは、日本の再現性ある強みと評価できます。


和田19得点、佐藤18得点、島村10得点――3人で計47得点

日本の攻撃を牽引したのは、香港戦に続いて和田由紀子と佐藤淑乃でした。

そこに、中央から10本のアタック得点を挙げた島村春世が加わっています。

選手総得点アタックブロックサーブ
和田由紀子191522
佐藤淑乃181620
島村春世101000
石川真佑9810
宮部藍梨5410
関菜々巳4310
鴫原ひなた2200
山田二千華1100
山口真季1100
北窓絢音1100

和田、佐藤、島村の3人で計47得点。

日本がアタック、ブロック、サーブで自力獲得した70得点のうち、約67.1%を3人が占めました。

和田由紀子――19得点と勝負どころの課題

和田は28本のアタックから15得点。単純なアタック決定率は約53.6%でした。

さらにブロック2得点、サービスエース2本を記録。日本が韓国戦で挙げたサービスエースはチーム全体で2本だったため、そのすべてを和田が奪ったことになります。

強打だけでなく、相手ブロックの手を利用した攻撃やコースの打ち分けでも得点。香港戦の14得点からさらに数字を伸ばし、2試合連続で日本の主要な得点源となりました。

一方、試合後には「要所で最後の1点を決め切れないところがあった」と振り返っています。

19得点という結果だけなら、高く評価できる内容です。

しかし、和田自身が見ていたのは得点数ではなく、競った終盤に一度の攻撃でセットを終わらせられたかどうかでした。

第1セットを33−31まで要した事実と、和田のコメントは重なります。

得点を重ねる力は示した。そのうえで、セットポイントや試合を決める一本の精度をさらに高められるかが、次戦以降のテーマになります。

佐藤淑乃――攻撃32本とレセプション31本

佐藤は32本のアタックから16得点。単純な決定率は50.0%でした。

香港戦の14本を上回る16本のアタック得点を記録し、韓国戦でも前衛、後衛の両方から日本の攻撃を支えています。ブロックでも2得点を挙げ、総得点は18点に達しました。

さらに注目したいのが、攻撃とレセプションの両方で担った本数です。

佐藤はチーム最多の32本のアタックを打ちながら、レセプションでもチーム最多の31本を担当しました。レセプションエラーは1本です。

香港戦では13本のレセプションに対して4本のエラーを記録していましたが、韓国戦では受数が増えた中でエラーを抑えています。

もちろん、レセプションは成功やエラーの数字だけで個人の技術全体を評価できるものではありません。サーブの難度、選手間の守備範囲、レセプション後にどのような攻撃へ移行できたかも関係します。

それでも、攻撃32本とレセプション31本の両方を担った事実から、佐藤に大きな負荷がかかっていたことは読み取れます。

サーブレシーブを行ったあとに助走へ入り、再び攻撃を担当する。

18得点という結果だけでなく、攻守の連続性まで含めて評価したいパフォーマンスでした。

島村春世――中央から10得点、決定率約66.7%

サイド陣に次ぐ得点を挙げたのが、島村春世です。

島村は15本のアタックから10得点。単純なアタック決定率は約66.7%を記録しました。

選手アタック得点打数単純決定率
島村春世1015約66.7%
和田由紀子1528約53.6%
佐藤淑乃163250.0%
宮部藍梨41040.0%
石川真佑826約30.8%

※単純決定率=アタック得点÷打数。公式スタッツに表示されるアタック効率とは異なります。

島村が中央から10得点を挙げたことで、韓国のブロックは和田、佐藤、石川のサイド攻撃だけに狙いを絞れませんでした。

サーブレシーブが安定し、関菜々巳がネット際でトスを組み立てられた場面では、島村のクイックが効果を発揮。中央の攻撃を見せることで、両サイドに対するブロックの完成を遅らせる役割も果たしています。

ただし、島村本人の試合後の言葉は厳しいものでした。

3−0という結果は評価しながらも、内容については「まだまだ足りない」と振り返り、「正直、複雑」と表現しています。

10得点、決定率約66.7%は優れた数字です。

それでも島村が見ていたのは自身の得点だけではなく、チームとして目指すプレーの完成度でした。


競った局面で機能したリリーフ陣――「5得点」以上の影響

韓国戦では、先発選手だけで試合を終えたわけではありません。

鴫原ひなた、北窓絢音、山田二千華、山口真季らもコートに入り、アタック、サーブ、ブロックなど、それぞれ異なる形で試合に関わりました。

公式記録上、4人の得点は合計5点です。

しかし、途中出場選手の働きを評価するときは、得点数だけでなく、投入されたスコア、求められた役割、その後に生まれた得点まで確認する必要があります。

鴫原ひなた――33−31を終わらせた一打

最も分かりやすい結果を残したのが鴫原です。

第1セット終盤にコートへ入り、長く続いたデュースの最後にブロックアウトを獲得。33−31でセットを決着させました。

鴫原の試合全体の得点は、アタックによる2点です。

2得点という数字だけを見れば、和田の19得点や佐藤の18得点には及びません。しかし、どちらに転ぶか分からなかった第1セットを終わらせた1点は、試合の流れを考えるうえで重要でした。

途中から入った選手が、十分な助走や試合のリズムをつかむ時間が少ないなかでトスを託され、決め切った。

鴫原は限られた機会で、明確な結果を残しました。

北窓絢音――エースではなく、ブレイクを生んだサーブ

第2セットで流れを動かしたのが、北窓のサービスターンです。

日本が16−14とリードしていた場面で、北窓がリリーフサーバーとして入りました。北窓のサーブが韓国のレセプションを乱し、佐藤のスパイクなどで日本がブレイクを重ねます。

公式記録上、北窓にサービスエースはついていません。

しかし、サーブの価値はエース数だけでは決まりません。

相手のレセプションをネットから離し、クイックを使いにくくさせ、日本のブロックとディフェンスが対応しやすい状況を作ることも重要な役割です。

日本は北窓のサービスターンから5連続ブレイクを奪いました。

韓国にAパスを返される場面が多かった試合で、途中出場の北窓がサーブから相手の攻撃を限定できたことは、チーム全体の課題に対する一つの回答にもなっています。

北窓はアタックでも1得点を記録しました。

総得点は1点でも、試合へ与えた影響は得点欄に残った数字だけではありません。

山田二千華――最後のブロックに参加

第3セット終盤には、山田二千華もネット際の守備で試合の決着に関わりました。

日本が24−20とマッチポイントを迎え、鴫原がリリーフサーバーとして入ると、そのサーブから韓国が攻撃。山田と和田が2枚ブロックを完成させ、25−20で試合を終えました。

公式スタッツ上、このブロック得点は和田に記録されています。そのため、山田のブロック得点欄には残りません。

それでも、2枚の間を空けず、韓国のアタックコースを消した山田の参加がなければ、同じ形でシャットアウトできたとは限りません。

ブロックは、最終的にボールへ触れた選手だけで成立するものではありません。

隣の選手と基準をそろえ、相手アタッカーのコースを限定する共同作業です。得点欄に残らない山田の関与も、最後の1点を構成した重要な要素でした。

山田は試合全体でアタック1得点も記録しています。

山口真季――短い出場時間でアタック得点

山口は途中出場からアタック1得点を記録しました。

出場時間と打数が限られているため、この1試合だけで攻撃力やチーム内の序列を評価することはできません。

それでも、試合の途中から入って関とのタイミングを合わせ、実際に得点を残したことは次戦以降につながります。

ミドルブロッカーは、セッターとのテンポや助走の入り方に影響されやすいポジションです。

島村と宮部だけでなく、山田、山口も実戦で起用されたことで、日本は中央の組み合わせを広げながら予選ラウンドを戦えています。

「選手層が厚い」と断定するには、まだ早い

韓国戦でリリーフ陣が機能したことは収穫です。

ただし、この一戦だけで「誰が入っても同じ強さを維持できる」「日本は選手層で圧倒している」と断定するのは早計です。

鴫原や北窓は局面を動かしましたが、出場時間やプレー数はまだ限られています。山田、山口も、より長い時間コートに立った場合に同じパフォーマンスを維持できるかは分かりません。

韓国戦で確認できたのは、交代起用が単なる主力の休養ではなく、勝負どころに具体的な役割を持って投入され、実際に結果へつながったことです。

香港戦では、点差が開いた第3セットを中心に交代選手が経験を積みました。

韓国戦では、33−31のセットポイント、16−14からリードを広げたい場面、試合を終わらせる最後の1点でリリーフ陣が起用されています。

交代選手がより難しい状況で役割を果たしたことは、決勝ラウンドを見据えた前進と評価できます。


サーブ2得点――関菜々巳が挙げた「Aパスを返された」課題

日本の課題が最も明確に表れたのがサーブです。

日本のサービスエースは、和田が記録した2本のみ。韓国は3本を記録しました。

香港戦で日本は8本のサービスエースを奪っていましたが、韓国戦では2本に減少しています。

もちろん、エース数だけでサーブの効果を判断することはできません。

北窓のサービスターンのように、直接得点にならなくても相手のレセプションを乱し、攻撃の選択肢を減らせればサーブは機能しています。

一方で、試合後の関菜々巳は、チーム全体のサーブが弱く、韓国にAパスを返される場面が多かったと振り返りました。

Aパスを安定して返されれば、韓国のセッターはクイックを含む複数の攻撃を選択できます。日本のブロックは相手の攻撃方向を絞りにくくなり、ディフェンスの負担も増えます。

第1セットが長いサイドアウトの応酬になった背景には、日本がサーブから韓国の攻撃を十分に限定できなかったこともありました。

関は自身についても「コンビの精度を上げたい」と語っています。

韓国戦で日本はアタック61得点を挙げましたが、その攻撃が常に理想的なテンポで組み立てられたわけではありません。

サーブレシーブが崩れた場面やラリー中の切り返しでは、トスとアタッカーのタイミングが合わず、単調な攻撃になる場面も見られました。

それでも関自身は、アタック3得点、ブロック1得点の計4得点を記録。ディグでも13本の成功が公式記録に残っています。

トスだけでなく、ツーアタック、ブロック、守備でもプレーに関わった一方、セッターとしてはコンビの完成度にさらに高い基準を置いていました。

関は日本の強みとして、粘り強いディフェンスへの意識は出ていたとも振り返っています。

韓国のディグは89本、日本は86本。単純な本数だけで守備力の優劣を決めることはできませんが、両チームが多くのボールを拾い、ラリーを継続した試合だったことは数字にも表れています。

そのラリーを最終的に得点へ変える部分で、日本のアタック力が差を生みました。


3−0でも「内容が足りない」――3人のコメントが重なった理由

韓国戦後のインタビューでは、和田、関、島村がそれぞれ異なる立場から、似た課題を挙げました。

  • 和田由紀子:試合開始からのギアの上げ方と、要所で最後の1点を決め切ること
  • 関菜々巳:サーブの強度と、セッターとしてのコンビ精度
  • 島村春世:3−0という結果だけでは満足できない試合内容

これは、ストレート勝ちの価値を否定するものではありません。

日本は第1セットの長いデュースを取り切り、第2セット以降も韓国にセットを与えませんでした。

和田、佐藤、島村の3人が二桁得点を挙げ、アタックでは18点差。鴫原や北窓をはじめとするリリーフ陣も、競った局面で与えられた役割を果たしています。

競った試合を落とさず、結果として3−0で勝ち切ったこと自体は明確な収穫です。

一方、日本が目指しているのは韓国戦の勝利だけではありません。

今大会で優勝し、2028年ロサンゼルスオリンピックの出場権を獲得するためには、準々決勝以降でさらに強度の高い相手を倒す必要があります。

相手にAパスを返され続けること、セット序盤で相手に流れを渡すこと、セットポイントで決め切れないこと。

韓国戦では勝敗を覆すまでには至らなかった問題も、決勝ラウンドでは一つのセットを左右する可能性があります。

島村が3−0という結果を受けても「正直、複雑」と表現したのは、目の前の勝敗だけではなく、その先の相手に通用する内容だったかを見ていたからでしょう。

和田も「試合を重ねるごとに強くなっていきたい」と話し、ロサンゼルスオリンピックに向けて一試合ずつ全力で戦う姿勢を示しました。

ストレート勝利に満足せず、次の試合で勝つための内容に目を向けていることが、3人のコメントに共通しています。


まとめ:主力の47得点と、勝負どころで機能したリリーフ陣

韓国戦の3−0勝利を支えた最大の要因は、61−43と18点差をつけたアタックでした。

和田由紀子は19得点、佐藤淑乃は18得点。さらに島村春世が15本中10得点、単純決定率約66.7%を記録し、中央から攻撃の幅を広げています。

3人の合計は47得点。日本の自力獲得70得点の約67.1%を占めました。

同時に、リリーフ陣も競った局面で結果を残しています。

鴫原ひなたは第1セットの長いデュースを終わらせる一打を決め、北窓絢音は第2セットにサーブから5連続ブレイクを生み出しました。第3セット最後のブロックには山田二千華も参加し、山口真季も途中出場からアタック得点を記録しています。

これは、点差が開いてから複数の選手を起用した香港戦とは異なる収穫です。

一方、サーブ得点は2−3。試合後には、試合開始からのギアの上げ方、サーブの強度、コンビの精度、最後の1点を決め切る力が課題として挙げられました。

結果は3−0。しかし、内容は完成形ではありません。

主力選手の得点力と、勝負どころで機能したリリーフ陣。その両方を次戦以降も再現しながら、選手たちが口にした修正点をどこまで改善できるかが注目されます。

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