男子バレー日本代表、バーレーンに3-0勝利|髙橋藍19得点、数字の外にもあった「日本らしさ」

男子バレーボール日本代表は9月6日、アジア選手権2026の予選ラウンド第2戦でバーレーンと対戦し、セットカウント3-0(25-15、25-15、25-23)で勝利した。

初戦のオマーン戦は3-1。第3セットを落としながらも、第4セットを25-9で取り切った。

そこから迎えた2戦目。日本は第1、第2セットをともに25-15で奪い、第3セットではバーレーンの修正に苦しみながらも25-23で勝ち切った。

個人では髙橋藍が19得点。石川祐希が12得点、途中出場から第3セットのスタートに入った宮浦健人も9得点まで伸ばした。

チームスタッツを見ると、アタック得点は45-29、ブロックは9-3、サービスエースは5-1。数字にも日本の優位ははっきりと表れている。

ただ、この日の日本を語るには、それだけでは足りない。

ブロックフォロー。ワンハンドでのつなぎ。味方のスペースを埋めるポジショニング。

スタッツには残らないプレーにも、日本らしさが凝縮された3セットだった。

試合結果|日本 3-0 バーレーン

日本 3-0 バーレーン

  • 第1セット:25-15
  • 第2セット:25-15
  • 第3セット:25-23

日本のスタートは、西田有志、石川祐希、髙橋藍、小野寺太志、エバデダン・ラリー、深津英臣。リベロに小川智大。

第1セット、序盤から流れを作ったのは髙橋のサーブだった。

3-2からコーナーへ突き刺すノータッチエース。続く1本では、今度は前方へ短く落として連続エースを奪う。

強く打つだけではない。コースと強弱を変えながらバーレーンのレセプションを揺さぶった。

日本はその後もサーブで相手を崩し、ブロックやトランジションから得点。小野寺のクイックやブロックも機能し、25-15で先取した。

第2セットでも、再び髙橋のサーブターンが流れを動かした。

1-1から石川のブロック、小野寺のクイック、そして髙橋自身のサービスエースで4-1。

さらに中盤には、短いサーブで一球返球を引き出して石川がダイレクトで仕留めると、続いて石川、西田がブロック。日本は一気にリードを広げた。

このセットも25-15。

第3セットは西田に代わって宮浦、ミドルには山内晶大が入った。

しかし、ここからバーレーンが食らいつく。

日本のブロックへ正面から打ち込むだけでなく、指先や上部を狙ってブロックアウトを奪う場面が増えた。中盤にはサーブでも日本を崩し、12-12、さらに17-17へ。

19-19、20-20、21-21、そして22-22。

第1、第2セットとはまったく違う展開になった。

それでも日本はセットを渡さない。

最後は24-23から、髙橋がレセプションに入り、そのまま攻撃参加。自ら25点目を決めた。

25-23。

苦しんだ第3セットまで取り切り、日本はストレートで大会2勝目を挙げた。


45-29、9-3、5-1|日本が作った「自分たちの得点」

この試合のチームスタッツを見ると、日本がどこで得点を積み重ねたのかがよく分かる。

得点内訳日本バーレーン
アタック4529
ブロック93
サーブ51
相手ミス1620
総得点7553

相手ミスによる得点は、日本の16点に対してバーレーンが20点。

つまり、バーレーンのミスだけで日本が点差を広げた試合ではない。

差が大きかったのは、アタック、ブロック、サーブという自分たちのプレーから生まれた得点だった。

アタックで16点差、ブロックで6点差、サーブで4点差。

そして、その3つはそれぞれ独立していたわけでもない。

この試合では、サーブで崩した先にブロックがあり、ブロックタッチの先にディグがあり、その先にもう一度日本の攻撃がある。

数字と数字の「あいだ」にも、日本の強さがあった。


髙橋藍|19得点。「3エース」だけでは見えないサーブの価値

この日のチーム最多得点は髙橋藍。

19得点の内訳は、アタック15、ブロック1、サービスエース3だった。

アタックは21本中15本を決め、アタック決定率71.4%

攻撃だけを見ても高い数字だが、この試合で特に印象的だったのはサーブだった。

第1セット序盤。

まずは深いコースへ強く打ち込み、ノータッチエース。

次の1本では前方へ短く落とし、再びエース。

第2セットでも出力を変えたサーブでエースを奪ったほか、短いサーブから一球返球を引き出し、石川のダイレクトにつなげた。

さらにそのサーブターンでは石川、西田のブロックも生まれている。

公式スタッツに残るのは「サービスエース3」。

しかし実際には、エースにならなかったサーブからも日本のブレイクが生まれていた。

攻撃でも引き出しは多かった。

右手で打つと見せて左手で押し込むプレー。鋭角に落とすインナークロス。バックアタック。オマーン戦でも見せていた多彩さが、この日も随所に表れた。

さらに髙橋はDIGでも6本で日本最多。レセプションも11本を受けてエラー0だった。

第3セットには石川のアタックがブロックされたボールを髙橋がカバーし、そこから宮浦の得点につなげた場面もある。

そして最後は、自らレセプションを返し、自らアタックを決めた。

試合後、髙橋は英語で、常にアグレッシブさを追求してプレーしていること、そして今後も調整していきたいと話した。

19得点という数字以上に、攻守のさまざまな局面へ関わった試合だった。


石川祐希|12得点。レセプションから、そのまま攻撃へ

石川は12得点

アタック9、ブロック3で、ブロック3得点は日本最多だった。

アタックは23本中9本で、決定率39.1%

髙橋や宮浦ほど高い数字ではない。

一方、この試合で目立ったのが、レセプションを返した直後の攻撃参加だった。

第2セット。

石川がAパスを返す。そのまま助走に入り、自ら攻撃を決める。

さらに次の場面でも、石川がレセプションに入り、今度はバックアタックから得点した。

守備をした選手が、数秒後にはアタッカーになる。

石川はチーム最多となる18本のレセプションを受けてエラー0。DIGも4本を記録した。

また、深津だけでなく途中出場した河東祐大から石川へトスが上がる場面も見られた。

試合後、石川は河東について、短い期間ながら良いコミュニケーションが取れていると評価した。

一方で、自身が十分に練習できていなかったこともあり、コンビはまだ完璧ではないとも語った。それでもセット間にコミュニケーションを取りながら合わせており、河東について「非常に修正もできる選手」と評価している。

まだ完成していないからこそ、試合の中で合わせる。

大会を戦いながらコンビネーションを高めていく過程も、この試合には見えていた。


宮浦健人|途中出場から9得点。第3セットを支えたもう一つの選択肢

宮浦は第1セット途中からコートに入り、第3セットでは西田に代わってスタートから出場した。

それでも最終的には9得点

アタックは12本中8本を決め、決定率66.7%。さらにサービスエースも1本を記録した。

第3セット序盤には、OPながらレセプションに入りAパスを返す場面もあった。

攻撃ではライトからストレート、クロス、バックライトと得点。

バーレーンに17-17まで追いつかれ、日本がタイムアウトを取った直後には、バックライトから18点目を奪った。

終盤まで競った第3セットで、サイドアウトを取る選択肢の一つになっていた。

一方、西田もアタック8本中6本を決め、決定率75.0%。ブロック1本を加えて7得点を記録している。

西田は試合後、自身の状態について、

「今年の代表はこれに向けてやってきたので、ケガがどうであれプレーしないわけにはいかない。終わった後考えればよいかなと」

という趣旨の言葉を残した。

状態について外から推測することはできない。

ただ、この日は西田と宮浦の2人が、それぞれの出場時間の中で得点を重ねた。


サーブ5本、ブロック9本|数字の「あいだ」にあった日本の設計

日本のブロック得点は9。

内訳は、

  • 石川祐希:3
  • 小野寺太志:2
  • エバデダン・ラリー:2
  • 西田有志:1
  • 髙橋藍:1

だった。

バーレーンの3本に対して、6本多い。

ただ、この9本を「ブロックが良かった」という一言だけで片付けると、この日の内容を十分には表せない。

序盤から何度も見られたのが、

サーブで崩す
→ 相手の攻撃を限定する
→ ブロックを揃える

という流れだった。

直接ブロックにならなくても、ブロックの存在によって相手のアタックがアウトになる場面もあった。

試合後、小野寺もこの関係について触れている。

日本には良いサーバーが揃っているため、ブロックも付きやすい。さらに欧州とアジアでは攻撃のスピード感に違いがあるため、相手に合わせながらブロックの「形」を意識しているという。

小野寺自身も2ブロックを記録。

初戦までケガの影響もあったなか、ティリ監督は試合中のインタビューで、小野寺がケガから戻ってきたため、この試合で試していると説明した。

本人は試合後、まだ「十分な動きができている」とまでは感じていないとしながらも、決勝に向けて状態を上げていけるという見通しを語った。


「41本、エラー0」の外側|小川智大が埋めたスペース

日本のレセプションを主に担った3人を見ると、

  • 石川:18本/エラー0
  • 小川:12本/エラー0
  • 髙橋:11本/エラー0

3人で41本を受けてレセプションエラー0だった。

この数字だけでも安定感は見える。

ただ、小川の仕事は「12本」という数字だけでは分からない。

第3セット、バーレーンが石川方向を狙ってサーブを打つ局面。

そこで見られたのが、小川が石川のレシーブエリアへ入ってボールを受ける動きだった。

実際、20-19とした場面では小川がきれいにレセプションを返し、宮浦のライトからの得点につながっている。

さらに山内のクイックにつながったAパスや、相手のプッシュに素早く反応したディグもあった。

レセプションの本数だけを見るのではなく、

どこに立つか。
誰のスペースを埋めるか。
次の攻撃をどう成立させるか。

そこまで含めて見ると、小川がチームを支えていたことが分かる。


スタッツには残らないファインプレー|「日本らしさ」が凝縮された3セット

この試合を見ていて印象に残ったのは、得点になったプレーだけではなかった。

第1セットには、石川がワンハンドでボールを残した。

第2セットには、途中出場の富田将馬がディグでボールを上げ、さらに同じラリーの中でもう一度ワンハンドでつないだ。

第3セットでは、石川のスパイクがブロックされたボールに髙橋が反応してカバー。そこから宮浦の得点につながった。

エバデダン・ラリーにも好ディグがあり、深津はネット際へ流れたボールをワンハンドで石川へセットした。

一つひとつを見れば、スタッツの得点欄には何も残らないプレーも多い。

しかし、その1本がなければ次のトスはない。

トスがなければ、アタック得点も生まれない。

つなぐ。カバーする。空いた場所へ入る。もう一度攻撃する。

初戦オマーン戦よりもチームの状態が上がってきたと感じた理由は、こうした細かなプレーの連続にあった。

この日の日本には、「日本らしいバレー」が凝縮されていた。


第3セットはなぜ25-23まで競った?|バーレーンが変えたブロックの使い方

第1、第2セットはいずれも25-15。

ところが第3セットは25-23だった。

バーレーンはこのセット、日本のブロックに対する攻め方を変えていた。

強引に打ち下ろすだけでなく、ブロックの指先や上部へボールを当て、コート外へ弾き出す。

日本のブロックを避けるのではなく、利用する。

そうしたブロックアウトが目立つようになった。

それまで有効だったミドルの使用頻度が下がったように見える時間帯がある一方、サイドから日本のブロックを利用して得点。

サーブでも終盤に日本を崩し、17-14から17-17まで追いついた。

そこからも19-19、20-20、21-21、22-22。

なお、今回確認できる公式個人スタッツは3セット合計のため、「第3セットにバーレーンのアタック決定率が上昇した」と数字から断定することはできない。

ただ、観戦上は明らかに攻撃の狙い方に変化が見られた。

試合後、バーレーンの#8 Abdulwahedと監督も、第3セットの内容には満足しており、次のゲームへさらに発展させたいという趣旨のコメントを残している。

相手も試合の中で修正した。

その相手を、最後まで振り切った。


「次のプレーで切れた」|西田有志が語った第3セットの価値

第3セットについて、西田は試合後に興味深い言葉を残した。

第1、第2セットは非常に良い形で乗り切れた一方、第3セットには難しさがあった。

そして、

集中が切れてもおかしくないような点の取られ方をしても、しっかり次のプレーで切ることができた。

そこを評価していた。

石川も同様に、第3セットは少しバタついたと振り返りながら、セットを取られることなく勝ち切れたことをポジティブに捉えている。

第1、第2セットの25-15は、日本が主導権を握ったセットだった。

しかし、第3セットは違う。

相手が修正する。追いつかれる。それでも次の1点を取る。

22-22から日本は髙橋のアタックで23-22。さらに24-22とマッチポイントを握り、24-23とされたあとも最後の1点を奪った。

25-15の強さとは違う、25-23の強さ。

大会を勝ち上がるうえでは、こちらも重要な経験になる。


次戦はオーストラリア|高さに「技術」でどう挑むか

予選ラウンド最終戦は9月8日(火)のオーストラリア戦

これまでのオマーン、バーレーンとは、また違った相手になる。

オーストラリアには2mを超える選手も多く、高さのあるブロックが待っている。

安易に打ち込めば、ブロックから相手に流れを渡しかねない。

小野寺も、オーストラリアはこれまでの2戦より高さもレベルも上がると警戒する。

石川は「このグループで一番力があるチームだと思う」としたうえで、1戦1戦をトーナメントのつもりで挑むと話した。

そして髙橋も、オーストラリアの大きな選手を意識しながら、今日とは違う相手にテクニカルなプレーで勝利を目指す考えを示した。

その言葉は、このバーレーン戦の内容ともつながっている。

強打だけではないサーブ。

相手ブロックを見た攻撃。

ブロックフォロー。

つなぎ。

ポジショニング。

一人ではなく、6人で次の1本を作る。

高さが増す次戦だからこそ、バーレーン戦で見せた「日本らしさ」がさらに試される。


まとめ|数字に表れた強さ、数字には残らない強さ

日本 3-0 バーレーン。

髙橋藍19得点。
石川祐希12得点。
宮浦健人9得点。

アタック45-29。
ブロック9-3。
サービスエース5-1。

公式スタッツだけを見ても、日本が多くの項目で上回ったことは分かる。

それでも、この試合で印象に残ったのは数字にならないプレーだった。

ボールを落とさない。

仲間が空けたスペースを埋める。

ブロックされたボールを拾う。

そして、もう一度攻撃する。

初戦オマーン戦から一つ状態を上げ、2連勝。

ただ、日本が見ているのはその先だ。

次は、高さと力を持つオーストラリア

数字に表れた強さと、数字には残らない強さ。

その両方を携えて、日本は予選ラウンド最終戦へ向かう。

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